2~3万円程度の安価な3Dプリンターを使用しているのですが、駆動部分やテーブル面がむき出しになっているため、時間が経つと埃を被ってしまいます。
また、印刷中にゴミが入ってしまうことも考えられます。
そこで、3Dプリンターが収納できるケースを自作しました。
本記事では、自作した3Dプリンターの収納ケースの製作工程について紹介したいと思います。
収納ケースの自作を考えている方の参考になれば幸いです。
目次
作製した防音ケース
作製した収納ケースです。使用した木材はパーティクルボードです。
スライドレールを付けて引き出せるようにしています。
移動のことを考えてキャスターを底面4隅に取り付けています。
ケースの内側から吸音材、遮音材、ケース壁面の順になっており、印刷時の音を軽減できるような構造になっています。



以下に簡単ですが各要素の説明を記載します。
パーティクルボード
パーティクルボードは、木材の小片(パーティクル)に接着剤を混ぜて熱と圧力をかけて成形した板状の建材です。削片板やチップボードとも呼ばれます。主に廃材や間伐材などの木材資源を有効活用して作られるため、環境に優しいエコな製品としても知られています。
そのため、以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- コストが安い: 廃材などの再利用材を主原料とするため、他の木質ボードに比べて安価です。
- 遮音性・断熱性に優れている: 内部に隙間があるため、音や熱を伝えにくい性質があります。
【デメリット】
- 水や湿気に弱い: 接着剤で固められているため、水に濡れたり湿気にさらされたりすると、膨張して変形したり強度が低下したりすることがあります。
- 重い:製法上密度が高く、他の木材ボードと比べて重たいです。
スライドレール
スライドレールは、引き出しや棚などをスムーズに開閉させるための金具です。
冷蔵庫の引き出しの側面や、キッチンの引き出しの側面等に取り付けられています。
スライドレールを選ぶ際は、引き出しの重さや用途、引き出したい長さなどを考慮して、最適な種類と機能を選ぶことが大切です。
キャスター
キャスターは、家具や台車、医療機器など、さまざまなものの底面に取り付けられ、移動をスムーズにするための車輪付きの部品です。
自在式:360度自由に方向を変えられるタイプです。小回りが利き、狭い場所での方向転換が容易なため、台車や家具など、頻繁に移動させるものに多く使われます。
固定式:一定の方向にしか動かないタイプです。直進性が高いため、台車などでまっすぐ進みたい場合に安定して走行できます。自在式と組み合わせて使用されることも多いです。
台車によっては自在式2輪、固定式2輪としているものもありますが、今回製作した収納ケースは4輪全て自在式にしています。
収納ケースが非常に重たいので、機動力を確保するためです。

正確な重量は測れていないのですが、引っ越し業者の方が驚く重さです…
製作工程
ここからは製作工程を紹介します。
3DCADでモデリング
3DCADはSolidWorksを使用しました。
下段の箱上になっているのが収納ケース、上段に載っているのが余った木材で作る簡易棚です。
購入する木材のサイズから材料取りを計算したときに余ることがわかったので、余った木材で棚を作ることにしました。
木材の接合やスライドレール、キャスターの取り付けは木ねじを使用します。
収納ケース右下の穴は3Dプリンターの電源コードを出す用の穴です。

ホームセンターで木材カット
木材は”バロー”というホームセンターでカットしてもらいました。
どのサイズでカットしてほしいのか、図面を用意しておくと手続きがスムーズになります。
ホームセンターで組立
組立は”カインズ”というホームセンターのDIYスペースを借りて行いました。
木ねじを入れるときの音が大きく、特に賃貸の方はご近所さんの迷惑になること間違いなしなので、近所にDIYスペースがある場合は借りた方がよいでしょう。
吸音・遮音材の貼り付け
カットした木材に吸音材と遮音材を貼り付けます。
使用したのは「タッカー」という工具です。
木材のような板状の素材に針を打ち込んで固定することができます。
木材の接合
木ねじを入れるときはインパクトドライバーを使うのがオススメです。
手で締めるのはできなくないのですが、大変な労力と時間がかかります。
私はこちらのインパクトドライバーを使用しました。


電源コード出し用の穴開け(ホールソー)や、木ねじを入れるのが難なくできるパワーがあります。
バッテリータイプでコードレスです。バッテリーは2個付属しているので、1個は使用、1個は充電という使い方ができます。充電器とケースが付いているのも嬉しい点です。
木ねじを入れるときは下穴を開けた方がいいのですが、ドリルは付属していないので別途購入する必要があります。
完成!
スライドレールがスムーズに動くことを確認、キャスターを取り付けて完成です。
木材の角をやすりがけして丸める予定だったのですが、忘れてしまいました。
部屋に運んだ後でやすりがけをすると粉の処理が大変なので、角を保護する部品を購入しようと思っています。

印刷時に引き出しを完全に閉めると、ヒートクリープという現象が発生して印刷不具合が起きてしまいます。
そのため、印刷時は引き出しを少しだけ開けて熱を逃がすことが大切です。

せっかく付けた防音機能が完全に発揮されないのが残念ですが、FDM方式の3Dプリンターを使っている以上、仕方がないことかもしれません…
まとめ
本記事では、自作した3Dプリンターの作り方を紹介しました。
収納ケースがあることで、印刷時の音の軽減、印刷品質の向上が期待できます。
自作を考えている方の参考になれば幸いです。
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